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加圧リハビリによるコロナ後遺症の回復に期待

加圧リハビリによるコロナ後遺症の回復に期待

2025/5/28

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加圧リハビリによるコロナ後遺症の回復に期待

加圧リハビリによるコロナ後遺症の回復に期待

間質性肺炎(Interstitial Lung Disease: ILD)は、肺の組織が炎症を起こしたり、線維化して硬くなる(線維症)ことで、肺の柔軟性が失われ、呼吸機能が著しく低下する病気です。特に進行性の病型では、肺が硬くなり、酸素と二酸化炭素のガス交換が困難になるため、慢性的な息切れや低酸素血症を引き起こします。

日本における患者数と背景

日本では、間質性肺炎の一種である特発性肺線維症(IPF)の有病率は人口10万人あたり約27人と推定され、約34,000人が罹患しています。間質性肺炎全体の患者数はさらに多いとされています。近年、COVID-19感染後に間質性肺炎を発症するケースが増加傾向にあります。ある報告によると、重症COVID-19から回復した患者の32%に何らかの肺線維化の兆候が見られ、後遺症として間質性肺炎が診断されることも少なくありません。

治療法と課題

間質性肺炎の標準的な治療法には、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤の投与、酸素療法、呼吸器リハビリテーションなどがあります。これらの治療は、病気の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を維持することを目的としています。

しかし、酸素療法を行っていても、多くの患者さんは軽い日常生活動作でSpO2(血中酸素飽和度)が90%前後まで低下することがあります。このため、運動を避けるようになり、筋力低下を招いて、さらにQOLが悪化するという悪循環に陥りがちです。

新しい選択肢:加圧リハビリテーションの可能性

このような課題がある中で、近年注目を集めているのが「加圧リハビリテーション」です。これは、専用の加圧カフを四肢に巻き、血流を適度に制限しながら、軽い負荷で運動を行うトレーニング方法です。従来のトレーニングに比べて少ない運動量で、筋力や筋持久力の向上が期待できます。

間質性肺炎のような呼吸器疾患を持つ多くの方は、高強度の運動が困難です。しかし、加圧リハビリテーションは、軽い動きでも筋肉に十分な刺激を与えることができるため、安全性を確保しながら効果的な筋力強化を可能にします。

加圧リハビリテーションによる酸素化の改善

加圧リハビリテーションによってSpO2値が改善したという報告があります。ある間質性肺炎の患者さんは、トレーニング前のSpO2が92%でしたが、直後には99%まで上昇しました。このような変化は一時的なものである可能性もありますが、継続的なトレーニングによって、以下のような生理的変化がもたらされる可能性が示唆されています。

  • 呼吸補助筋の強化:加圧リハビリテーションは、胸鎖乳突筋や肋間筋などの呼吸補助筋を活性化させ、呼吸効率を改善する可能性があります。

  • 末梢代謝の改善:筋肉内の毛細血管が増加し、酸素利用効率が向上することで、少ない酸素で運動を継続できるようになる可能性があります。

  • 血管新生の促進:加圧リハビリテーションによる虚血・再灌流の刺激が、VEGF(血管内皮増殖因子)の発現を増加させ、肺を含む全身の血流や酸素運搬能力を改善する可能性があります。

  • 心理的な安定と自律神経の調整:軽い運動でも達成感を得ることで、精神的な安心感につながり、副交感神経が優位になって呼吸が安定する可能性があります。

COPD患者の研究から期待されること

間質性肺炎の患者さんを対象とした加圧リハビリテーションの研究はまだ少ないのが現状です。しかし、同じ呼吸器疾患であるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんを対象とした研究では、低負荷の加圧リハビリテーションが筋力増強、運動耐容能の向上、酸素利用効率の改善に効果的であることが報告されています。

このことから、間質性肺炎の患者さんにも同様の効果が期待されており、今後のさらなる臨床研究によって、その有効性と安全性が明らかになることが期待されます。


医療監督下での慎重な導入

しかし、加圧リハビリテーションは血流を制限するという特殊な刺激を利用するため、誰にでも安全というわけではありません。特に、肺疾患や心血管系の問題が進行している方にとっては、医師や医療専門家の監督のもと、安全性を十分に確認しながら慎重に進めることが不可欠です。

間質性肺炎は日常生活に大きな制限をもたらしますが、運動を避けることで生じる筋力低下は、さらにQOLを悪化させる原因となります。

加圧リハビリテーションのように、低負荷でありながら効果的なトレーニングを適切に取り入れることは、筋力の維持・向上、酸素化の改善、そして患者さんの自信回復につながる可能性があります。今後、さらに多くのエビデンスが蓄積され、呼吸器疾患に対する新しいリハビリテーション手法として確立されることが期待されます。

参考文献

  • Prevalence of idiopathic pulmonary fibrosis in Japan based on a claims database analysis. Respiratory Research, 2022.

  • Pulmonary Sequelae of COVID-19: Focus on Interstitial Lung Disease. Cells, 2022.

  • Low-load blood flow restriction strength training in patients with COPD: a randomized controlled pilot study. npj Primary Care Respiratory Medicine, 2023.

  • Risk of newly diagnosed interstitial lung disease after COVID-19 and potential protective effect of vaccination: a nationwide cohort study. Frontiers in Public Health, 2023.

  • Understanding post-COVID interstitial lung disease: Causes, treatment options. News-Medical.net, 2023.

  • Patterson SD, Hughes L, Head P, Warmington S, Brandner C. Blood flow restriction exercise: considerations of methodology, application, and safety. Front Physiol. 2019;10:533.

  • Sundberg CJ. Exercise and training during blood-flow restriction in humans: implications for health and performance. Scand J Med Sci Sports. 2020;30(4):714–727.

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